教員紹介

齊藤 信夫 准教授

専門・研究テーマ・キーワード
臨床疫学、熱帯医学、狂犬病、薬剤耐性、結核、ジフテリア、レプトスピラ症
担当課程
博士前期課程専任教員博士後期課程専任教員

取得学位・資格

医師
修士(リバプール熱帯医学校)
医学博士(長崎大学)
感染症専門医、内科総合専門医

経歴

医師免許取得後、2005年から2009年まで長崎大学病院・感染症内科勤務。2010年にリバプール大学熱帯医学修士課程修了後、タイ-ミャンマー国境にあるメータオクリニックで臨床医として人道的活動に従事。その後、2011年から2013年まで長崎大学医学部附属病院感染症内科助教・感染症コンサルトチームチーフとして勤務した後、マニラに長崎大学TMGHリサーチステーションのリーダーとして赴任。現地でラボを立ち上げ、複数の臨床疫学研究(AMR,ジフテリア、レプトスピラなど)を実施した。
2018年4月より大分大学准教授+JICA専門家として、フィリピンに赴任し、狂犬病対策のプロジェクト(JICA-AMED SATREPS)を主導。大分大学が開発した迅速診断キット(LFD)を活用して、狂犬病動物の迅速診断を導入することに成功した。本プロジェクトでは、フィリピン農業省動物局と共同で、情報共有システム(狂犬病データ共有システム)を開発し、社会実装した。本システムにより、狂犬病発生対策のための包括的なワンヘルスアプローチが実施可能となり、アウトブレイク時の対応能力が大幅に向上した。 我々が導入した対策法は国家狂犬病予防プログラムに採用され、現在18州で運用されている。今後は、この革新的なアプローチをフィリピン全土に普及させるため、継続となるプロジェクト(JICAプロジェクト)を2024年から齊藤が主導する予定である。
2023年10月より、長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点准教授に就任し、ケニアに長期赴任し、結核などの臨床研究プロジェクトを指揮している。

教育活動

  • これまでフィリピンで多くのTMGH修士学生を引き受け、研究指導を行ってきた。疫学解析だけでなく、ラボでの微生物検査の指導も行っている。

研究活動

  • 博士課程では、インフルエンザワクチンの発症予防効果を検討する研究を行った。本研究結果により、日本感染症学会北里柴三郎記念学術奨励賞を受賞。その後、熱帯地域における臨床疫学研究に従事した。現場で、感染症に罹患した患者から情報と臨床検体を収集し、臨床疫学、空間疫学、微生物学の手法を組み合わせ、病原体を解析しリスク因子を明らかにする研究を得意としている。また、地域での感染症根絶のため、公衆衛生対策を考案し実装する実証研究も行っている。
    私の研究は、結核、熱帯地域での市中感染薬剤耐性菌、狂犬病、ジフテリア、レプトスピラ症、デング熱、腸チフスなど、多様な病原体に関するものであり。さらに、日本においてはインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのワクチン効果に関する研究も継続して行っている。

現在の主な研究活動地域

  • ケニア
  • フィリピン
  • 日本

最近の5つの出版物

    1. Mauhay JD, Saito N, Kimitsuki K, Mananggit MR, Cruz JL, Lagayan MG, Garcia AM, Lacanilao PM, Yamada K, Saito-Obata M, Manalo DL, Demetria CS, Quiambao BP, Nishizono A. Molecular Analysis of Rabies Virus Using RNA Extracted from Used Lateral Flow Devices. Journal of Clinical Microbiology. 2023; 61(3):e0154322.
    2. Guzman FD, Iwamoto Y, Saito N, Salva EP, Dimaano EM, Nishizono A, Suzuki M, Oloko O, Ariyoshi K, Smith C, Parry CM, Solante RM. Clinical, epidemiological, and spatial features of human rabies cases in Metro Manila, the Philippines from 2006 to 2015. PLOS Neglected Tropical Diseases. 2022; 16(7):e0010595.
    3. Saito N, Solante RM, Guzman FD, Telan EO, Umipig DV, Calayo JP, Frayco CH, Lazaro JC, Ribo MR, Dimapilis AQ, Dimapilis VO, Villanueva AM, Mauhay JL, Suzuki M, Yasunami M, Koizumi N, Kitashoji E, Sakashita K, Yasuda I, Nishiyama A, Smith C, Ariyoshi K, Parry CM. A prospective observational study of community-acquired bacterial bloodstream infections in Metro Manila, the Philippines. PLOS Neglected Tropical Diseases. 2022; 16(5):e0010414.
    4. Saito N, Dimapilis VO, Fujii H, Suzuki M, Telan EFO, Umipig DV, Solante RM, Dimapilis AQ, De Guzman F, Salva EP, Nakayama F, Toda K, Smith C, Ariyoshi K, Parry CM. Diphtheria in Metro Manila, the Philippines 2006-2017: A Clinical, Molecular, and Spatial Characterization. Clinical Infectious Diseases. 2021; 72(1):61-8.
    5. Saito N, Komori K, Suzuki M, Kishikawa T, Yasaka T, Ariyoshi K. Dose-Dependent Negative Effects of Prior Multiple Vaccinations Against Influenza A and Influenza B Among Schoolchildren: A Study of Kamigoto Island in Japan During the 2011-2012, 2012-2013, and 2013-2014 Influenza Seasons. Clinical Infectious Diseases. 2018; 67(6):897-904.

メッセージ

私は、長崎大学熱帯医学研究所ケニア拠点教室准教授としてケニアに長期赴任しております。フィリピンでの活動も継続中で、2024年から開始される狂犬病のプロジェクトを間指揮する予定です。患者をベースとした感染症研究から公衆衛生対策まで幅広く行っています。現在の主なテーマは、結核、狂犬病、ケニアでの発熱疾患探索、人獣共通感染症です。ケニアやフィリピンでの臨床疫学研究や地域での公衆衛生の研究を一緒に行っていきましょう。

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