青年海外協力隊・理学療法士隊員としてのパプアニューギニアでの活動終了後、国際健康開発研究科に入学しました。私は協力 隊としての開発途上国の遠隔地での活動を通して、多くの障害者が必要なサービスにアクセス出来ないために物理的にも心理的にも孤立した生 活を送っているという現実に直面しました。そのような途上国での障害者保健について、政策的な面から関わることの出来る専門家になりたい というのがこの研究科の志望動機でした。1年次には経験豊富な先生方と困った時に 大きな力になっていただける事務スタッフの方々に囲まれ、個性的な同級生たちと共に、グローバルヘルスに関わる極めて実践的な学習の機会 を得ることが出来ました。現在はフィリピンにあるWHO西太平洋地域事務所にて長 期インターンを開始しています。国際機関での刺激的な毎日は自分を更に成長させる絶好のチャンスとなります。自分自身の将来も見据えた実 りのある経験を得られるように一所懸命に頑張っています。
大学卒業後、すぐにこの研究科に入学致しました。大学の頃は農学を専攻しており、新卒理系という非医療系でこの研究科に飛び込むというのは不安でした。しかし、国内外問わず経験豊富で魅力的な講師陣や講師陣に負けず劣らず個性的な同級生に囲まれ、入学当初の不安は、嘘のように感じず一年間が過ぎ去りました。
研究科では、医学だけではなく、政策学や経済学、人類学といった多岐に渡る学問を体系的に学ぶことができました。また、その学んだことを同級生と昼夜問わず話し合い、考え合う環境の場があることは長期インターンシップと共に研究科の魅力だと感じました。
4月からは長期インターンシップで南アフリカ共和国に滞在しております。この長期インターンシップの活動を通して、現地の方々と共に何ができるのか考え行動していきたいと思います。
私は、大学生の時に国際協力の学部を専攻し地域開発に関心を持っていましたが、特に住民参加による健康改善について学びを深めたいと思い、研究科に入学しました。
ここで得られたことの一つめは、文系・理系の枠を越えた多彩な講義を受け、国際保健で求められる知識や視点を学べたことです。得られたことの2つ目は、8か月間の長期インターシップです。ネパールにある現地病院(コミュニティヘルスプログラム)にてインターン、そして同国の農村部にて新生児ケアに関する調査を行いました。インターン・調査ともに、現地の人々の協力を得ながらゴールに向かい自分で切り開いて行くことが必要とされましたが、そのプロセスはフィールドで活動していくための重要な土台になっています。
現在は、今年3月よりフィリピンで活動しているNGOの駐在スタッフとして働き始めたばかりです。これまでは、マニラの路上で暮らす子ども達への支援、レイテ島での台風被災者支援を視察してきましたが、地域の人々・関係者とのネットワーク形成や、先を見据えた支援の重要性を感じています。これからは、担当事業(ミンダナオ島にて先住民の子どもと地域住民へ教育・保健・生計向上)で活動をしていきますが、対象地域の人々の生活、自分自身の可能性も広げていけるよう努力していきたいと思います。
本研究科を卒業後、開発コンサルタント会社に就職して1年が経ちました。卒業は出発のスタート地点というのは本当でした。
本研究科で学んだことは、実際の現場でのプロジェクトを遂行していく中で、必要な要素ばかりです。現場ではそれらを使い、センス良く組み立て、現場の状況を判断していくことが求められます。この1年は自分の力不足を思い知り、「もっと掘り下げて知りたいこと」がたくさんできました。
国際保健の現場に一人前として貢献できるようになるためには、「知識として知っている」ことと「現場に出る」こと、どちらか一方だけでは駄目で、現場で実際に起きている問題を知り、それを解決するためにどうしたらよいかを自分の頭で考えることが大切なのではないかと思います。自分の頭で考える際、質の良い素材を使うために、勉強は継続する必要が
あると思いますが、卒後も勉強を続けられるのも、在学中に身に付けた国際保健の分野での「考え方がわかる」、「勉強の仕方、調べ方の検討がつけられる」という、基礎があってこそできることではないかと思います。
これから入学される皆様は思う存分自分の勉強のためだけに、貴重な2年間が使えますので、贅沢な時間になることでしょう。また、熱心で温かい先生方や2年間同じ時間を過ごす素敵な仲間が待っていることと思います。
基礎・基本があるからこそ物事の選択ができ、時には飛び込む勇気や捨てる勇気も持て、次第に創造へと転換していくのではないでしょうか。研究科に入学するまで、看護業務において個を対象として相互成長を
目指したケアをしてきました。その後、青年海外協力隊に参加し、モザンビーク共和国での看護教育や地域連携への関わりを通して公衆衛生の重要性を目の当たりにし、集団に対しての知に基づいたアプローチが必要と考え進学を決めました。研究科では多様な分野を学術的・体系的に理解すると同時に、特にケニア共和国農村部のコミュニティに密着した事業や子どもコホート研究を通して母子保健、文化人類学分野における様々な経験を通して学びを深めたこと、教授陣やMPH生を始め視野の広がる刺激的な出会いを得られたことは大きな財産となっています。言葉、情報、活動等が人と人とをつなぎ選択肢をもたらすことができる、その基礎を現場力・実践力を磨きながら学び、自分自身とも対峙する貴重な時間をもてたことは、非常に有益な経験となりました。
卒業後の現在、すべての人が「健康」を受け入れ自分のものとし、自らの意思による選択が出来るよう、人間中心・繋ぐ役割を重視したアプローチに魅力を感じて活動しています。皆に支援してもらいながら、充分な基礎・観察をもとにしたコミュニケーションにより、相互に気づき、共に感じることが人間成長、動きにつながることを少しずつ実感しています。
私たちは、自分たちの目の前で起きていることしかわからないことが多い。理解できないこともあるし、理
解しようとしない人たちもいる。そういう世界で生きている。悲しくても仕方がない。でも、理解したいと思う。結局、わからないだろうと言われようと、わかりたい、知りたいと思う。世界は広く、また狭い。違いがあって、ばらばらでも、それをそれとしてどうやっていけばうまくいくのか。その場所に合った答えを見つけるために何を理解すればいいのか。全ては自分自身の想像力にかかっていると思う。そのためには、自分が色々
な場所に出ていくしかない。その大きな一歩がこの研究科だった。そこには同じように悩み、迷っている人が沢山いて、先生を含めて、暗中模索の中で力強く生きていた。迷うからこそ人生は楽しいのではないかと思えた。ぶつぶつ言いながら、振り切れている人たちがいるのだとわかって、とても楽になった。次の一手は動かないと見えない。
村の民家の軒下で、揺り椅子を借りて一休み。そこへ鶏がひょいと上がってきて、掃除が行き届いたタイル貼りの床に糞をする。ふと老婆があらわれて、かまどの灰を糞にかけ、ほうきでさっと掃く。鶏糞は水分を多く含むのでベチャつくが、灰をかけると固まって掃き出せる。こんな日常の知恵を垣間見ることができるのも、現場の楽しみのひとつ。
研究科を修了して以来、中米ニカラグアでのシャーガス病対策に携わっています。地方の保健施設を巡回したり、村々での活動に同行して技術指導したり、現場からのデータをまとめて報告書を作ったり、プロジェクト関係者と協議したり…という毎日です。
長崎の国際健康開発研究科を出て早4年。大学で実践を教える、というどこか矛盾した研究科の理念は、実は高度に知的な挑戦でもある、と最近思っています。実践的な人材を育成するには、現場で必要な知とは、その知を生み出す作法とは、という問いに向き合わなければなりません。鶏を眺めながら、そんな問いを自分に投げてみる。これもまた、現場の楽しみのひとつ。
再び国際協力に携わりたいと考えたのは、青年海外協力隊を終え既に7年、社会人入学した大学を卒業した時でした。国際保健の現場で活動するためには、助産師としての経験のほかに公衆衛生が必須と考え、MPH
を取得できるこの研究科に進学し、修了後はご縁があり、現在二つめのJICAプロジェクトに専門家として赴任しています。保健と一言に言っても、広い視野がなければ目の前の現象を多角的にとらえることはできま
せん。またコミュニケーション能力も然り、語学はもちろんのこと人との関係づくりは、この仕事においても重要な点です。今までの学びと経験を統合し、実践でどのように活すかを学んだのが研究科の2 年でした。知識も経験も豊富な教授陣、多種多様な光る個性を持つ同期たち、インターンやリサーチでの多くの方々との出会いや支援を通し学んだことは、今の大きな糧です。現在はトレーナーの育成をしていますが、この一年間にグングン成長している彼らを見ていると、もっと多くのことを伝えたいと私自身も奮起させられます。まだまだ未熟なことが多く、青木前研究科長の教えの通り、日々勉強を積む必要があり、現地の方や他の専門家の方々から様々なことを学ぶ毎日です。
私が国際保健に携るようになったきっかけは、青年海外協力隊で看護師隊員として参加したことにあります。活動を通して国際協力の魅力に惹かれた一方、日本で培ってきた知識・技術とはまた違ったものが現場で
は必要とされ、多くの苦い経験を味わったことが、本コース進学を決めた理由です。
1年次は、海外の様々なところで活躍されている先生方からご指導をいただき、国際保健に関係する幅広い分野の基礎を学ぶ機会に恵まれました。自分に不足していたものが何であったか、国際分野で活動するにあたって求められている知識・技能がどのようなものであるかなど、自分が全く見えていなかった世界に触れることができ、充実した1年をおくる
ことができました。
今年度は、国際NGOのPlan International Kenyaでの長期インターンシップを行います。様々な国の人達と活動を共にしながら、座学で学んできた知識を実践の場で活用できる技術へ移行できるよう、8か月間頑張ってきます。
1年次は毎日の授業や研究プロポーザルの作成に加えて、短期フィールド研修でバングラデシュ、キャンパスアジアの短期プログラムでフィリピン、教官の研究補助のためカンボジアと多くの国を訪れました。各国で
は既に国際保健分野で活躍されている本研究科卒業の先輩方ともお会いすることができ、大変頼もしく感じると同時に長崎大学のネットワークの広さを改めて認識しました。いつでも熱心に指導してくださる先生方、そ
して共に刺激し合える仲間こそがこの研究科の最大の魅力だと思います。また長崎での1年間は途上国だけでなくGlobal Healthの枠組みで国民皆保険や世界一の平均寿命、少子高齢化などの特徴を持つ日本のHealthにつ
いても考える機会となり、日本で公衆衛生を学ぶ意図や国際保健に従事する日本人の役割を強く意識するようになりました。
現在は、昨夏に訪れたバングラデシュで長期インターンシップを開始したところです。農村部と都市スラムの母子保健事業に携わりながら、課題研究にも取り組む予定です。イスラム社会という慣れない環境に戸惑うこともありますが、困難こそ今後の自分の力になると信じて現地で得た経験とそれに基づく思考プロセスを大切にしながら1日1日を過ごしていきたいと思っています。