私は、民間企業勤務後に本学に入学したいわゆる非医療系のバックグラウンドなので、入学当初は多様なコースの科目についていけるかどうか心配でした。しかし、1年目は学長を始めとした長崎大学内の様々な学部・学科の教授陣、国際保健や公衆衛生、国際開発に現在進行形で携わっておられる国内外からの講師人の授業が目白押し。どの内容もききのがしてはもったいないと必死に授業に取り組んだ1年でした。このコースの特徴である、「専門性の高い実践能力を備えた人材の養成に向けた実践的な知識」と、様々な人脈を広げることができつつあることを実感しています。また、現在も世界中で活躍しておられる卒業生の先輩方との密なネットワークは、研究やインターン先の相談を気軽にやり取りしてくださったり、励ましていただいたりと大変心強いつながりです。でも、こうした恵まれた環境をどう生かすかは自分次第。少人数編成の授業では、1人1人の授業への取り組みがクラス全体に影響します。コースの多様性は各自の研究を各々がデザインし模索し続ける過程が続き、論理的思考かつ即時的な事務処理能力を鍛える必要性を実感していますが、この経験はどれも無駄ではないと確信しています。
4月からいよいよ長期インターンシップでケニアへ向かう予定です。私がこのコースで一番に魅力を感じたこの2年次のインターンシップで、これまで学んだ専門知識を実践的に生かし、自分がデザインした研究を自分でマネージメントして現地の人々と取り組める機会。楽しみであると同時に1人で開拓し、実践していく責任への不安感も混じり合いますが、帰国した時の自分の成長を信じて、やってみない公開よりもやってみた達成感を多く得られる機会にしたいと思います。
私は青年海外協力隊のエイズ対策員として中央アフリカのガボンで2年間活動していました。配属先がHIV/AIDSの治療センターだったのですが、そこで出会ったたくさんの感染者の方、とりわけ妊婦の方たちが、感染を知ったあと、人によっては困難がありながらも、前向きに生きていく姿に励まされ、多くの勇気をもらうと同時に、再び国際保健の分野に携わりたいと思うようになりました。私が関わったHIV/AIDSを含め、国際保健問題の解決には、熱帯医学、母子保健の視点も欠かせないと感じ、それらを体系的に学べる長崎大学への進学を決めました。医療系のバックグラウンドがない私ですが、毎日の授業はとても新鮮で、講義の上手な先生方のおかげで、大変ながらも楽しく学んでいます。まだ入学して間もないですが、年齢、経験、バックグラウンドの全く異なるやる気に満ち溢れた仲間に囲まれ、また、少人数の学生に対して、現場の第一線で活躍されている先生方がたくさんおり、恵まれていると感じます。自分が求めれば、それに応えてくれる環境が十分すぎるほど整っているな、というのが印象です。このような学びの機会があることに感謝を忘れず、2年間多くのことを吸収していきたいと思います。
私は国際保健、貧困者支援に関心があり、当研究科で学ぶことを志願しました。日本での手術看護師経験の他に、海外での国際協力の経験がない私にとって、毎日の講義は魅力的でありつつも、未知の世界であり、想像を膨らませながら先生方のお話をきいています。私以外の多くのクラスメートは海外経験が豊富であり、彼らの経験談を聞くのもとても有意義で楽しいひとときです。また、クラスメートは職種も異なり、それぞれ異なる分野に関心を持っているので、そんな仲間とこれから自分がどんな研究を行っていきたいかを話し合うこともこの研究科に来たからこそ体験できることだと、感謝しています。
また、短期フィールド研修、長期インターンシップの他に、休暇を利用した短期留学などへの参加の積極的な支援や、24時間アクセス可能なCALLシステムなど、学習するには大変、恵まれた環境です。
これからの2年間、再び学ぶことのできるチャンスを十分に生かし、実践で通用する知識と技術と語学を身に着けたいと思います。
臨床検査技師として日本の病院検査室で5年ほど働いた後、青年海外協力隊に参加しました。帰国後、結核予防会に就職しパキスタン、カンボジア、ケニアで結核菌検査に関わる技術協力に携わってきました。しかし、振り返ってみると、多岐にわたる実践的な経験を検証し評価できる基本的な理論や知識に欠けていることに気づきました。さらに、現場で求められていることは検査技術そのものだけでなく、国方針の立案、事業計画の策定や人材育成など、幅広い視野で俯瞰的にマネージメントできる能力であると教えられました。ゆえに『もっと学びたい』という気持ちが本研究科を志望した動機になります。これから始まる二年間の学業は決して容易なものではなく、むしろ困難な日々が待ち受けていることでしょう。専門性の高い教授陣が集う長崎大学のユニークな本研究科で、クラスメイトと切磋琢磨しながら目標に向かって頑張っていきたいと思います。
二年間の修士課程で最も有益であったことの一つに、文化・医療人類学的視点を得たことがあります。入学前に途上国で活動を行った際に、それまでに自分が培ってきた価値観を現地の人々に押し付けてしまい、物事が思い通りに進まないことに苛立ちを感じた経験がありました。世界中には多種多様な文化が存在し、それは時代と共に移り変わるものです。現地の人々の文化、生活、習慣に見合った活動でないと、受け入れられないどころか現状を悪化させてしまうこともあります。二年次にケニアで母子保健に関するプロジェクト活動とフィールド調査を行った際に、一年次に学んだ上記の視点がとても役立ちました。専門領域はリプロダクティブヘルスですが、幅広い視野が必要であることを痛感しました。現在は博士課程に進学し、疫学・統計学の知識を含め、再びフィールド調査に挑戦したいと考えています。皆さんも研究科のカリキュラムを通して、ご自分なりの大切な視点を発見されてはいかがでしょうか。
私は薬剤師として青年海外協力隊に参加したのをきっかけに、全体的な視野を身につけようと本研究科に入学しました。この2年間はとにかく一生懸命勉強しました。授業はとても面白いです。現場に近い先生方の臨場感あふれる熱心な講義に、ぐいぐい引き込まれていったのを覚えています。本当に沢山の分野を学ぶので大変ですが、やりがいがあります。
研究科の特徴の一つである長期インターンシップでは、研究活動も行いました。私はマラウイにおける保護者の小児用医薬品理解度について調査しましたが、現地の倫理委員会を通すことに始まり、リサーチアシスタントを雇い、調査を実際に行うといった活動を、先生方の事務の皆さん、また、現地の共同調査者の方々に支えられたおかげで、困難もありましたが、充実した、何にも変えがたい貴重な体験になると同時に、協力隊時代に感じていた疑問を解決することができ、研究の楽しさも知りました。
また、助け合いながら勉学に勤しんだ、個性の光る仲間との2年間、そして物事を多角的にとらえ、広い視野で俯瞰できるようになったと感じられるまでに至ったことも財産です。これからも弛まず努力し道を切り開いていこうと思います。
世界はまるでわからないことばかりだ、というのが私のこの研究科に入学する前の気持ちでした。そして修了した今も、やはり世界のことはまるでわからない。わからない世界が広がったなあ、というのが感想です。バラバラの人間がバラバラの認識を持っていて、バラバラのままそれでも世界は進んでいく。ただそれだけ。しかしだから面白い。知りたい。うまく行かないことを少し後押ししたい。長崎には学生・教員を問わず興味深い人間が沢山います。なんだかこの2年間は、MPHという目標に向かう学生11人の小さいプロジェクトのようでした。これまで自分が全く知らなかった分野で生きている人たちと出逢い、話し合えたことは、とても貴重な体験でした。
わからない世界に対する様々な視線があり、其々がそれぞれの場所で、自分を信じて生きていくしかない。ですが、様々な視線を知って生きるのか、知らないでいきるのか、は大きな違いだと思います。これからこの世界の中で何を考え、何を目的に何を信じて生きるのか、2年間すべての出逢いを通じて私は皆からそのヒントをもらい、少しだけ前に進んだような気がします。これから何をしようかな。
私は国内で5年間内科医として勤務した後、本研究科へ入学しました。医師の初期研修・後期研修を忙しく過ごした私にとって、この2年間は非常に贅沢な時間だと感じています。今は、自分の勉強したいことに時間を使え、様々な専門分野の先生から指導を受けることが出来る。何を得るかは自分次第だとは思いますが、今までの世界では出会うことのなかった新しい視点に出会え、毎日目を開かされることばかりです。また、本研究科の、現場を重視したカリキュラムは非常に魅力的です。私は途上国で働いた経験が無かったので、1年次の短期インターンシップで、バングラデシュの保健医療システムや開発の現状をつぶさに体感できたことが、非常に有意義なものでした。
2012年4月からは長期インターンシップでフィリピンに滞在する予定です。この2年次のプログラムは本研究科の売りでもありますが、私自身非常に楽しみにしており、今後の自分の人生に大きなインパクトを与えるのではないか、そして卒業後、この2年間の経験を何らかの形で社会に還元していければと思っています。
こんにちは。ラオスの県保健局で長期インターンシップを開始してから1週間が経ちました。短い時間ですが、1年次に学んだことが生きていると実感する瞬間に遭遇しています。この研究科では幅広い分野の講義を少人数形式で受けられ、経験豊富な教授陣に気兼ねなく質問や相談が出来てしまうというなんとも贅沢な環境が用意されています。しかし私はこれまで保健医療に関しての経験がなく、また幅広い分野を同時に学ぶ本研究科の特色の中で、学んだことを自分の力へ変えていけているか、という不安もありました。しかし今、実際にラオスに来て、物事を見つめるときの視点、切り口が増えているということを実感しています。「あっ、これあの先生が行っていたことと関係あるんじゃないか。あっ、これあの資料に書いてあったぞ。
という気付きがあるからこそ、”今目の前で起こっていることを他の事象と比較して考えてみる”ということが出来ているように思います。もちろんその気付きから次に何を導き出すかは私にとってのチャレンジであり、只今修行真っ只中という感じでしょうか。長崎の先生方やインターン先も含めラオスの人々の温かさに触れる度に、現地の人に喜んでもらえるものを少しでも還元したいと思えてなりません。学生という贅沢な時間を最大限に生かして取り組みたいと思います。
基礎・基本があるからこそ物事の選択が出来、時には捨てる勇気をもて、自分の信念や新しい発想へと転換していくのではないでしょうか。これまでの看護師・青年海外協力隊での経験の中で、気づき・臨場感・共感等の完成で物事を語る機会が多かったのに対し、ここでは様々な分野から多面的で冷静な見る視点を養う機会となっています。本研究科の学術的で多彩な科目の基礎を贅沢に学びながら、これまで感じていた全てがつながっていく、躍動感にあふれる時間を過ごしています。
世界で自国の言葉で公衆衛生を学べるのは日本と南米のみだそうです。より深く理解し自分の力にしていけるという大きな利点の浦には、英語教育でないがゆえに起こる現場での壁もあるかもしれません。しかし本研究科には心強い教授陣との密なつながりとインターンシッププログラムがあり、これらは言葉の問題のみならず、机上での学習で得た専門知識を、実体験を通して自分の学びに変えていける素晴らしいチャンスです。1年次の学習やそのプロセスから学んだ一つ一つの知識を、今度は自分で選択・判断・活用し、現地で彼・彼女らの力を発揮できるよう共有していく番です。インターンシップでの様々なプロセスからの学び・経験を自分の地震・発信力につなげていきたいと思っています。