顧みられない熱帯病(住血吸虫症)の迅速診断テストの開発等により, |
長崎大学熱帯医学研究所寄生虫学分野の濱野真二郎教授らのグループは,FIND(スイス),ライデン大学医療センター(オランダ),Merck(ドイツ),Mologic(英国)と共に,国際的に問題となっている顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases)の1つである住血吸虫症に関する研究「住血吸虫迅速診断テストの開発・製造・検証 ~住血吸虫コントロールプログラムにおける治療効果のモニタリングと再マッピングのサポートを目指して」に対して,グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)から約3億7千万円の研究資金を獲得しました。
主要な顧みられない熱帯病である住血吸虫症は,最低所得人口の健康に多大な悪影響を与えており,2 億2千万人以上が同症に罹患し,その約90%はサハラ以南のアフリカに在住しています。世界保健機関(WHO)による現ガイドラインでは,便・尿中に排出される住血吸虫卵の顕微鏡による検出が推奨されていますが,これは中~高度の感染強度では有用であっても,感度が低いため,有病率と感染強度が低い状況では十分に機能しません。ゆえに検体採取を数日繰り返し,何枚ものスライドを熟練技師が検査するなど,多大な時間や予算などを要します。現状を打破すべく本研究グループは,高感度で正確で使いやすく,しかも手頃な価格で入手可能な住血吸虫迅速診断テスト(RDT)を開発中です。本RDTは住血吸虫によって継続的に分泌される循環陽極抗原(CAA)を検出するもので,少量の指刺血を使用して20分以内に結果を得ることが可能です。FINDの委託先であるMologicは指刺血からのCAAの検出感度を高める方法を開発・最適化中です。
以上
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国立大学法人 長崎大学 研究所等支援課 095-819-7803